【事例で学ぶ】グローバル人材育成の方法
【事例で学ぶ】グローバル人材育成の方法

近年、しきりに「グローバル人材の育成」が叫ばれています。その「グローバル人材」とはどのような定義で、ビジネスの現場においてはどのような能力が備わっている人材なのかがいまひとつ掴めていないという方や、実際どのように人材育成を行うのが最も効率的で大きな成果を出せるのか、模索されている経営層や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。そのような中、製造業A社はある英語研修を取り入れ、グローバル人材育成における語学力・コミュニケーション能力の部分を強化しました。
今回は、グローバル人材の定義やビジネスの場において必要な能力の解説のほか、成功事例を参考にグローバル人材育成の効率的な研修方法をご紹介します。
1.グローバル人材とは?なぜ求められるのか
2.ビジネスで活躍するグローバル人材とは
前述の定義を踏まえると、実際、ビジネスの現場で活躍するグローバル人材にはどのような能力が必要になってくるのでしょうか。重要といわれる次の4つの能力について、ビジネスで活躍するグローバル人材に求められる内容を解説します。
1. コミュニケーション能力
グローバルビジネスにおけるコミュニケーションには語学力、特に英語力が前提にあることは周知の事実です。しかしこの場合の英語力とは一般的な英語力ではなく、相手とビジネスをスムーズ、かつ有利に進めるためのコミュニケーションに必要なリスニング力とスピーキング力に重きが置かれた英語力を指します。そして一般的にビジネスに必要とされるコミュニケーション能力においても重要な、相手の考えを正確に理解し受け入れること、自分の意見をうまく主張できることも必要です。そしてバックグラウンドの異なる相手の理解を円滑に進めるためにも、異文化理解・活用力も必要不可欠といえます。
2. チームビルディング
グローバル社会において、自分のチームに外国人が加わるケースは珍しくありません。国籍、言語、文化が異なるチームメンバーが世界各国に点在することもあります。そのチームで自身が主要なメンバーとなった場合には、ビジネスで一般的に求められるチームビルディング力に加え、チームメンバーとの語学力を含めたコミュニケーション力、マネジメント力、異文化間で生じるギャップ調整力など幅広い能力が求められます。
3. 行動力
一般的にビジネスで求められる行動力は、グローバルビジネスにおいては、より重要度が増します。日本国内であれば、これまで蓄積してきた情報をもとに「こう動けば、こう実現する」と想像しやすく、即行動に移せば成功することも多いですが、グローバルに市場を移せば、そううまくいくとは限りません。日本で通用していたことが通用しないことは少なくないためです。グローバル環境において、必要な情報を蓄積していくためにも、常にトライアンドエラーの精神を持つと共に、日本でのビジネス以上に積極的かつ、多くのPDCAサイクルを回すということが求められます。
4. リーダーシップ
従来の一般的なリーダーシップ力に加え、グローバル人材に求められるリーダーシップ力とは、環境が海外に拡大し、特にチームメンバーや取引先の文化的背景の多様化に伴い、必要となってくる能力全般です。例えば、複雑な市場や文化環境への理解・適合力、文化・言語・宗教などを超えて知識や情報をまとめ統率する柔軟なマネジメント能力、そして周囲からの情報を正確に受け取り行動に反映するための語学力・異文化理解力など、数多くの幅広い能力が求められます。
これらが、グローバル人材に求められる主要な能力となります。
3.製造業A社が実施したグローバル人材育成方法
こうした能力に秀でたグローバル人材を育成するには、企業は具体的にどのような研修を行う必要があるのでしょうか。製造業のA社で実施された「全社グローバル要員育成研修」を例に取り上げて効率的な研修方法をご紹介します。
●研修立ち上げの背景
A社が2011年度よりグローバル要員育成研修を開始した背景としては、中期経営計画で「(海外)売上の増加」と「グローバル人材育成の加速」を宣言していたものの、人事としてはグローバル人材が質と量ともに十分提供できてないこと、社員の意識が低いことなどがありました。
●人材育成方針
A社では、人材育成方針を「世界中の何処でも、誰とでも、職能資格に応じた仕事ができ、指定のグローバル人材必要条件を満たしている人。」とし、その必要条件の中でも「外国語スキル」の研修として、eラーニングを取り入れました。
●研修手法
具体的な研修手法としては、集合研修とeラーニングを併用した“ハイブリッド研修”で、eラーニングを効果的に活用しました。
英語は中長期的に学習するほうが効果的、という考えのもと、毎日少しずつ学習できるeラーニングを活用することに決め、その「管理者機能」を活用し、リアルタイムで受講者をフォローしました。
ハイブリッド研修の修了率、効果を上げるための工夫としては、集合「キックオフオリエンテーション」を開催し、会社・人事の考え(思い)、研修内容・効果的な学習方法について理解を深めました。
また、社内報で、学習者の声や受講結果などを発信し、受講者を増やす取り組みも実践しました。
4.まとめ
グローバル人材の定義には、さまざまなものがあります。そしてビジネスで活躍できるグローバル人材に求められる能力は多岐にわたり、より高度なものとなります。その能力の中でも重要な語学力・コミュニケーション力をより効率的に高めるためには、eラーニングと集合研修を併用したハイブリッド研修が一つの有効手段であるといえます。